映画「ヘル・レイザー」を観た
U-NEXT にて。
脚本 クライヴ・バーカー
監督 クライヴ・バーカー
出演 アシュレイ・ローレンス 他
ネタバレ注意
この記事にはネタバレが含まれます。
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ひとこと感想
「新しい酒を古い皮袋に入れるな」という諺(ことわざ)がある。
原典は新約聖書らしい。
続けてイエス様は、「新しい酒は、新しい皮袋に入れろ」と、おっしゃった。
「ヘル・レイザー」を観ながら、この諺を思い出した。
そして「優れたエンターテイメントは、古い酒を新しい皮袋に入れている」という仮説を立ててみた。
古典的なストーリーを新しいスタイルで表現すると良い映画になる、という仮説だ。
「スター・ウォーズ」しかり、この「ヘル・レイザー」しかり。
1980年代から90年代にかけて、小説家でもあったクライヴ・バーカー監督は「スプラッター・パンク」の旗手と呼ばれてた。
この映画の公開当時も、過剰に残酷かつスタイリッシュな表現が話題の中心だったと思う。
今(2022年)あらためて観直して、その余りにも古典的なストーリー構成に驚いた。
- 古い屋敷に住む兄は、究極の快楽を求めて悪魔崇拝に手を出したあげく、ついに地獄の門を開ける事に成功し、行方不明になる。
- 屋敷を相続した弟が、家族で移り住む。
- 弟の妻は後妻で、弟の娘にとっては継母(ままはは)だ。
- 不注意から手を切った弟の血が、屋敷の床(ゆか)に滴(したた)る。
- その血を浴びた兄が、怪物の姿で復活する。
- 兄と継母が共謀し、美しき娘を生贄にしようと画策する。
- 娘は、呼び出した悪魔を言葉巧みに誘導し、兄(=娘にとっては伯父)と継母を生贄にして、悪魔たちを地獄に追い返す。
アメリカの古い屋敷をヨーロッパの古城に替え、兄を先代の領主に替え、その後を継いだ現領主と家族の物語にしたら、グリム童話と言われても信じてしまうほどに古典的な話だ。
古典的で、ロマン主義的で、ゴシック的で、王道とさえ言えるストーリーだ。
古い酒(古典的な物語)を、新しい皮袋(最先端の技術とセンス)に包んで提供する……この手法について、少し考えてみたい。
そう言えば、本家18世紀イギリスのゴシック小説にも、快楽や不道徳をテーマにした作品があると誰かに聞いた事があるのだが……題名を忘れてしまった。
父親
物語の後半、兄フランクが弟ラリーに化けるのだが、これをラリー役のアンドリュー・ロビンソンが一人二役で演じている。
その演技が良かった。
調べてみたら、ダーティ・ハリー1作目の「あの人」でした。
ラスト
魔法の箱を手に入れた浮浪者がドラゴンになるラスト・シーンは良かった。
当時のファッション
この映画の公開当時、日本はまさにバブルの真っ只中だった。
バブル時代のファッションの特徴として、ガンダムのように両側に張り出した肩パットや、濃いアイシャドウ、真っ赤な口紅、ソバージュ・ヘアーなどが挙げられる。
いま振り返ってみると、洗練とは程遠い、いかにも成り金趣味なファッションだった。
今回「ヘル・レイザー」を観たら、この時代のアメリカ(イギリス)人たちも、日本人と似たり寄ったりの服を着ていた。
当時は日本だけでなく欧米諸国も、消費文化の爛熟期を迎えていたんだなと思った。
どこかしら、狂騒の20年代と言われた1920年代アメリカのファッションを連想させる。