青葉台旭のノートブック

「みみそぎ」を読んだ

作 三津田信三

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ひとこと感想

連作短編集。

まあまあ面白かった。

いわゆる叙述ミステリーとは少し違うが、「語り」に凝った仕掛けを施すのが得意な三津田信三らしい作品。

ある怪談のオチがつく前に、次の怪談を始める。
連鎖的に話が繋(つな)がっていく。
最初は目新しかったが、「今回はそういうスタイルで最後まで行くんだな」と思ったら、ちょっとだけ怖さが減じてしまった。

本の冒頭と終わりに三津田信三自身が登場する。いわゆるブックエンド形式だ。
全体が一つの長編ホラー小説としても読めるようになっている。
ホラー小説に作者本人が登場するという仕掛けも、なかなか難しいと思った。
われわれ読者は、現実の三津田自身とその担当編集者に決定的な出来事(たとえば行方不明になるとか、発狂するとか、死んでしまうとか)は無かったと知っている。
だから、ホラーなのに安心して読めてしまう。

郷内心瞳(ごうない・しんどう)の「拝み屋」シリーズは巻を重ねているから、作者自身が作中に登場するホラー小説が一概にダメとも言えないのだろうけれど。

2022-12-20 13:16