青葉台旭のノートブック

映画「リサと悪魔」を観た

映画「リサと悪魔」を観た

U-NEXT にて。

amazon のページ

脚本 マリオ・バーヴァ、アルフレード・レオーネ
監督 マリオ・バーヴァ
出演 エルケ・ソマー 他

ネタバレ注意

この記事にはネタバレが含まれます。

この記事にはネタバレが含まれます。

この記事にはネタバレが含まれます。

この記事にはネタバレが含まれます。

この記事にはネタバレが含まれます。

ひとこと感想

中世の町並みが残るヨーロッパの観光地にやって来た若い女(おそらくアメリカ人という設定)が、ハゲの人形使い(実は悪魔)に魅入られて時空の間(はざま)に迷い込み、何十年も前に古屋敷で起きた惨劇を追体験するという話。

例えて言うなら、イタリア版『世にも奇妙な物語』といった所か。

話の展開は読めてしまうし、演出も演技も安っぽいし、人形や血のりなどの小道具も安っぽい。
にもかかわらず独特の幻想的な雰囲気を醸(かも)し出していて、最後まで飽きずに観られた。

マリオ・バーヴァは、「モデル連続殺人!」で生身の人間をマネキンのように撮影した。
本作品は、悪魔によって登場人物たちが次々に人形にされていく物語だ。
「人間が人形になる」というモチーフに特別な思い入れのある監督なのか?

この映画から滲み出てくる独特の幻想的な味わいは、何に由来するのか?
1970年代初頭という時代から来るものだろうか?
それとも、ジャッロ(イタリア製の通俗スリラー)と同じ風土によって培(つちか)われたものだろうか?
それとも、中世の町並みが残るヨーロッパの雰囲気が、そもそも幻想的なのだろうか?

物語の序盤、主人公が悪魔と出会い、町を彷徨(さまよ)うシーンがある。
セットではなく、実在する町の路地で撮影されたものと思われる。
女が一人で実在の町を彷徨っているだけなのに、「あ、既にここは異世界だ」と思わせる説得力がある。
中世に建てられたと思(おぼ)しき石造りの建物が続くヨーロッパの町並みだからこそ、か。

実在の町並みを使って幻想的な異世界を作り出す感じは、少し黒沢清に似ているな、とも思った。

「ゴテゴテと過剰に装飾された過剰にロマンティックな建物内で繰り広げられる、過剰に陰惨な物語」というイタリアン・ホラーの様式美は、同時代の日本の少女漫画系ホラー作家に影響を与えた可能性が有る。

少女漫画+ホラー……互いに相容れない水と油のようだが、実は、少女漫画雑誌は何人もの優秀なホラー漫画家を排出している。

少女とホラーって、意外に相性が良いのだろうか? 少女はホラー好き?

2022-08-20 13:09