映画「鳥」を観た
映画「鳥」を観た
Amazon video にて。
脚本 エヴァン・ハンター
監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 ティッピ・ヘドレン 他
ネタバレ注意
この記事にはネタバレが含まれます。
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ひとこと感想
子供のころテレビの洋画劇場系の番組で見て以来の再視聴。
その時の記憶と今回のラストが違っているのだが、私の記憶が間違っているのだろうか? それとも別バージョンが存在するのだろうか?
鳥の描写
とにかく、群れで襲ってくる鳥の描写が素晴らしい。
- 生身の鳥
- パペットあるいは機械仕掛け
- フィルム合成
この3つの合わせ技なのだろうが、CGの無い時代に、よくぞここまで臨場感のある描写が出来たものだと、心から感心した。
素晴らしい。
前半はテンポが遅い
前半は話の進みが遅く、少し退屈してしまった。
こっちはホラー・パニック映画を観るつもりだったのに、一人の男を巡る元カノと今カノの微妙な三角関係とか、男がマザコン気味で嫁姑みたいな葛藤が描かれていたりとか、そういう描写が序盤から中盤にかけて延々とつづく。
前半、パニック映画にそぐわない人間ドラマを延々と観せられている最中、ねちっこいカメラ・ワークに気づいた。
ヒロインの顔や仕草を追うカメラが、やけにネチネチと粘っこい。
ああ、なるほど、これはヒッチコックの変態趣味が滲み出ているんだな、と思った。
そう思いながら見始めたら、退屈だった前半部もなかなか味わい深くなってきた。
大会社の社長令嬢で、勝ち気な顔立ちのお嬢様ヒロイン。
男に捨てられ、それでも男を忘れられずに田舎で小学校教師をしているヤサグレた女。
上級インテリ・ホワイトカラー階級の気障(きざ)でマザコン気味な男。
息子を支配しつつ息子に依存している、老いてなお美しい母親。
四人の微妙な力関係を、ねちっこいカメラで淡々と追っていく。
監督、そういう趣味か。
後半、いよいよ鳥の襲撃が本格化すると、勝ち気なヒロインが鳥に痛ぶられる姿を、これまた、ねちっこく写していく。
監督、そういう趣味か。
別荘の二階で鳥に襲われるヒロインの描き方は、『サイコ』の有名なシャワー・シーンを数倍ねちっこくしたような感じだった。
セットが素晴らしい
特に背景画が素晴らしい。
海辺の幼稚園みたいな所で妹の誕生パーティーを催すシーンがある。
主人公カップルは、そのパーティーを抜け出して細い道を登り、崖の上から美しい湾の眺めを堪能する。
最初は、屋外ロケあるいは屋外セットの幼稚園を見下ろしているのだが、途中から屋内セットに切り替わる。
最初の数秒間、私は屋外から屋内セットへ切り替わった事に気づかなかった。
後半のパニック描写が素晴らしい
妹の誕生日パーティーを鳥の群れが襲撃するシーン以降、いよいよ鳥が凶暴になってからのパニック描写が素晴らしい。
先にも書いた通り、鳥の群れの描写自体がまず素晴らしいのだが、逃げまどう人間たちの描写も素晴らしい。
いま観ると、のちに作られた多くのゾンビ映画(あるいはそれに類する終末パニック物)が、この『鳥』の影響を非常に強く受けているとわかる。
- カフェでの籠城シーン。
- 主人公に対して「あなたがこの村に来たから、この村に災いがやってきた! あなたは悪魔だ!」みたいな事を言う地元民。彼らはキリスト教への信仰心が強く、非科学的で、思い込みが激しい。
- コテージの窓や扉に板を打ちつけて籠城する主人公たち。しかしその防御も、鳥によって徐々に壊されていく。
- 1羽1羽は弱いのに、圧倒的な数の力によって人間たちを追い詰めていく鳥の群れ。
- ラジオ放送によると、どうやら鳥の凶暴化現象は、この村のみならず近隣地域へ徐々に広がっているようだ。国の政府や軍隊も打つ手が無いと言っている。
- 籠城していたコテージを捨て、車に乗って絶望的な逃避行に出発するエンディング。
以上のような描写は『鳥』を『ゾンビ』に置き換えれば、そのままゾンビ映画として通用しそうだ。