青葉台旭のノートブック

ネタバレ注意

この記事にはネタバレが含まれます。

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以下、ネタバレ。

今回のゴジラは、あくまで『マクガフィン』だった

物語のメイン・プロットは一種の時間ＳＦで、あくまで怪獣はその象徴に過ぎなかった。
迫り来る破滅が、地球に衝突する小惑星でも構わないし、時空の歪みとか、発掘された超古代文明の強力な兵器でも構わない。
破滅が巨大爬虫類の姿をしている理由がわからない。
怪獣らしい、ゴジラらしい見せ場は思った以上に少なかった。
終わってみれば、むしろ『ジェット・ジャガーの物語』だった。

円城塔

シリーズ構成の円城塔は、現代日本を代表するＳＦ作家だ。
彼の小説を読んだ事は無いのだが、彼が恐ろしく頭の良い人であろう事は、本作品を観て予想できた。
『きっと理系出身だろうな』と、この作品を観ている間ずっと感じていたが、見終わった後で調べてみたらその通りだった。

頭が良いというのは、もちろん素晴らしい事なのだが……今回は少々、その頭の良さが前面に出過ぎていたように思う。

既に決定されている未来の破滅をどう回避するかという思考実験を延々と語るメイン・プロットは、いかにも強面（こわもて）のＳＦ作家らしい。

ハードコアなジャンル物が好きな人には刺さる物語だったのかもしれない。

私の場合、ＳＦであれ、ファンタジーであれ、ホラーであれ、ミステリーであれ、ジャンルには深入りせず物語そのものを楽しみたい性分なので、本作品の延々と続くＳＦ的なセリフの応酬は、正直、ちょっとコッテリし過ぎて胃に凭（もた）れた。

セリフの応酬といえば、登場人物たちのセリフがいちいち頭良さげで、その辺りもちょっと匂いがキツく感じた。
やりとりされるセリフが余りにもカチッとハマり過ぎていて、その結論に到達する事ありきで逆算された掛け合いのように感じてしまった。

ヒロインのビジュアルについて

アラレちゃんみたいな大きなメガネを下にズラしているキャラクター・デザインは、少々あざとく感じる。

隙（すき）のあるファッションの若い女が、実は超天才児という『ギャップ萌え』を狙うところも含めて、あざとい。