日記のような小説、小説のような日記
日記のような小説、小説のような日記
12月5日(土)
久しぶりに夢を見た。
祭の夜だった。
色とりどりの電飾が町中に溢れ、光っていた。
ひとりベンチに座って泣いている若い女がいた。
良く見ると、私が若い頃に勤めていた会社の後輩だった。
私は彼女の隣に座り「どうして泣いているの?」と尋ねた。
彼女は首を振るばかりで理由を言わなかった。
祭の夜だというのに、彼女は一人で、私も一人だった。
私は「ウチに来る?」と彼女に言った。
彼女が頷いた。
私は「ウチに来る前に、銭湯に行って来たら?」と言った。
彼女は立ち上がって銭湯の建物に入った。
彼女が風呂に入っているあいだ、手持ち無沙汰だったので、祭に浮かれている町をブラブラ歩いた。
小さな路地の角を曲がろうとして、誰かにぶつかった。
よく見ると、相手は女優の能年玲奈(のん)だった。
私は彼女に「ウチに来る?」と言った。
のんが頷いた。
私は「ウチに来る前に、銭湯に行って来たら?」と言った。
のんは頷いて銭湯の方へ歩いていった。
私は、また町をブラブラと歩いた。
頃合いだろうと思い、銭湯の前に戻った。
風呂から上がった会社の後輩と、のんと、知り合いの年配の女性が三人並んでベンチに座っていた。
三人とも恐ろしい目で私を睨(にら)んでいた。
年配の女性が、私に向かって「あんたが悪い、あんたが悪い」と繰り返し言った。
私は「やっぱり無理だったか……欲張り過ぎた」と思った。
なんとなく、少し前からこの結末を予想していた。
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体重、89.6Kg
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2030年代の半ばに、内燃機関だけで動く自動車の新車販売が禁止されるらしい。
ハイブリッド車の販売は継続されるようだが、あくまで猶予しているに過ぎないだろう。
いずれ全ての自動車が完全に電化され、日本からガソリンスタンドが消える。
このままでは地球上のあらゆる資源が枯渇する日が来る。それを思えば、まあ妥当な判断だとは思う。
ただ「アクセル・ペダルを踏むとシリンダーの中で燃料が爆発し、クランクがその爆発力を回転運動に変え、マニュアル・トランスミッションを介してタイヤに動力が伝わる」という、この20世紀に隆盛を極めた乗り物が、あと15年かそこらで買えなくなると思うと、ちょっと寂しい気分になる。
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歳を取ったら、いかにもスポーツカーでございますと言った戦闘的な形の車に食指が伸びなくなった。
「見た目は、有りふれた実用コンパクトカー、中身はスポーツカー」といった車に乗りたい。
古くさい表現を使えば「羊の皮を被った狼」が欲しい。
ボディ形状は、セダン・タイプじゃなくて小型ハッチバック・タイプが良い。
ゴルフやシビックなどのCセグメント・ハッチバックは、もはや大きくなり過ぎた。
日本の道路環境で乗るなら、Bセグメント・ベースがちょうど良い。
400馬力、500馬力などという大出力も必要ない。むしろ日本の道路環境では邪魔とすら言える。
大馬力では「エンジンの美味しい所を使い切る」楽しさを公道で味わえない。
270から300馬力程度がちょうど良い。
重量は1200Kg台くらいか。
小型の実用ハッチバック・ベースとなると、必然的に前輪駆動ベースとなるが、やはり前後可変駆動力配分の4輪駆動が欲しい。
前後の駆動力配分を後輪寄りにして擬似FR的な走りを楽しみたい。
「ラリーのホモロゲーションを取得し、そして勝つために設計され生産された、生まれながらの戦闘マシン」と言ったドラマチックな物語があれば、なお良い。
今どき、クラッチを踏んでギヤを選んでヒール・アンド・トゥで回転を合わせるマニュアル・ギアボックス。
……で、そんな車、この世にあるの?
……あるんですねぇ。これが。
トヨタ・GRヤリス。
ドンピシャ。
世界の自動車業界が電気化される運命にある現在、こういうタイプの車が新車で販売されるのはこれが最後になると思う。
スカイラインGT-R、デルタ・HF・インテグラーレ、ランサー・エボリューション、インプレッサ・WRX……
20世紀、グループA時代に作られていた「実用車ベースの戦闘マシン」「羊の皮を被った狼」の系譜に連なる最後の一台になるだろう。
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ある映画監督が「若いうちは何にでも興味を持って手を出すのも良いが、歳を取ったら、本当に興味のあるものだけを残して、あとは切り捨てるべきだ」と言っていた。
歳を取ると「何にでも感動できる」という状態ではなくなる。
本当に感動できるもの、ジャンルの数が限りられてくる。
私の場合、「本を読む」「良い景色に出会う」「旨いものを食べる」そして「文章を書く」だ。
それ以外は、すべて余興。(もちろん人生の彩りとしての余興も、それはそれで大事だ)
長い文章を書いた日は、気分が良い。
かつて若いころスポーツに興じて1日を終えた時のような心地よい疲労感と充足感がある。(今の私には自らの肉体を使ってスポーツをする事への興味は無い)
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文章を書くのは楽しいが、その内容を考えるのは中々大変だ。
その点、日記は良い。
何も考えず、その日あった事、その日思った事をつらつら書いていけば良い。
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「詩を書く才能のない者が短編小説を書き、短編小説を書く才能の無い者が長編小説を書く」と、かつて誰かが言った。
つまり文学者としては、詩人が一流、短編小説家が二流、長編小説家が三流という事か。
私に詩人としての才能が無いのは分かっている。それは間違いない。
短編小説家としての才能も、それほど多くは与えられなかっただろうと思う(まぐれ当たりで良い作品を書く可能性くらいはあるだろう)
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朝食
コーヒー、砂糖5g、お粥を少々。
お粥の作り方。
昨日の夜に鶏肉を茹でた、その残り湯を使う。
鶏肉を全部食べた後、その残り湯に出汁パックを入れて一回沸騰させ煮出す。
出汁パックを入れたまま常温まで冷まし、それから鍋ごと冷蔵庫に入れて一晩寝かす。
今日の朝、軽く研いだ米を鍋に入れて火にかけ、お粥を作る。
米が充分に柔らかくなったら器に装って、塩・胡椒で味付けをして、最後に粉チーズをかけてスプーンで食べる。
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オープンカーとスポーツカーは別の概念である。
良いオープンカー必ずしも良いスポーツカーではないし、良いスポーツカー必ずしも良いオープンカーでもない。
もちろん良いオープンカーで、かつ良いスポーツカーという車も(可能性としては)あるだろう。
良いオープンカーの条件。
フロントガラスの角度が立っていて、かつドライバーの顔との距離が離れている(これが一番大事)
コンパクトである。
必須条件ではないが、4人以上乗車できれば、なお良い。
ハンドリングは必ずしも俊敏でなくて良い。
乗り心地は、ある程度快適なのが良い。
スタイリングは良いに越したことはないが、あまり気にしない。
必ずしもマニュアル・トランスミッションでなくても良い。
山道を軽快に走るというよりは、海岸沿いの田舎道をチンタラ流したい。
山に行くなら、雄大な景色を堪能しつつチンタラ流したい。
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四季のある町に住みたい。
一年中温暖な町というのも、それはそれで快適なのだろうが、飽きてしまうような気がする。
しかし、寒暖の差があまりに激しすぎるのも困る。
現在の東京あるいは神奈川の気候は私にとってちょうど良い。(夏は蒸し暑いから、自宅に冷房のある事が大前提だが)
(2020年)