映画「バーバリアン」を観た
映画「バーバリアン」を観た
U-NEXT にて。
脚本 ザック・クレッガー
監督 ザック・クレッガー
出演 ジョージーナ・キャンベル 他
2022年11月15日現在、filmarks の出演者の項目に「ジョージア・キャンベル」と表記されている。
元の名前は「Georgina」だから、このカタカナ表記は間違いだろう。「n」の発音が落ちている。
カタカナ語にするなら「ジョージーナ・キャンベル」が相応(ふさわ)しい思う。
ネタバレ注意
この記事にはネタバレが含まれます。
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ひとこと感想
わりと面白かった。
あまり真面目にならず気軽な気持ちで観れば、そこそこ面白い。
地蔵浄土
映画を観終えた後、ふと「これ何かに似ている話だな」と思った。
子供のころ、昔話の絵本で読んだような、テレビアニメで観たような……
そして「地蔵浄土」という日本の民話の類型に行き着いた。
広く日本中に伝わる民話だから、皆さんも一度は観たり聞いたりした事があると思う。
「ころころ転がる団子(おにぎりや豆粒の場合もある)を追って、正直じいさんが壁の穴を潜(くぐ)り抜けると、穴の向こう側は鬼の住む異世界だった。
正直じいさんは、その正直さゆえ鬼に見つからず富を手にして、こちら側の世界へ帰って来る。
噂を聞いて後から穴に入った意地悪じいさんは、その意地の悪さゆえ(あるいは愚かさ・欲の深さゆえ)に鬼に捕まり罰を受ける」
以上が日本民話「地蔵浄土」の構造だ。
映画「バーバリアン」の物語に良く似ていると思うのだが、如何(いかが)だろう?
この「地蔵浄土」の物語は、小泉八雲によって英訳されアメリカに紹介されているらしい。
「バーバリアン」の脚本家・監督がその英訳本を読んでいたのか、あるいは偶然に似たような話を思いついたのかは分からない。どちらも有りうると思う。
全く関係のない二つの地域で似たような物語が作られるというのは、歴史上しばしば見られる現象だ。
何にせよ、古今東西の神話・伝承には、まだまだ映画のネタになりうる物語の類型が眠っているという事だ。
映画やドラマ、アニメ、漫画、ライトノベルなど、エンターテイメント制作に関わっている人たちは、今一度、民話集などを漁ってみると良い。
思わぬところに物語のネタに使えそうな話が眠っているかも知れない。
主演
上に書いた通り、主演の「Georgina Campbell」をカタカナ表記にするなら「ジョージーナ・キャンベル」だろう。
英語版 wikipedia によると、父親がジャマイカ人で母親がイギリス人らしい。
ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイという名門校で映画学を学んだ秀才のようだ。
目がクリクリッとした感じで、個人的には好みの顔立ちだ。
ジャスティン・ロングの『間抜け男』芸
前述の「地蔵浄土」に例えるなら、ジャスティン・ロングが意地悪じいさん役だ。
間抜けな男を演じさせたらロングの右に出る者は居ないだろう。
しかし彼一流の「間抜け芸」は両刃の剣でもある。
物語の中ほどで彼が登場した瞬間、観客は「あ、これ正統派ホラーじゃなくて『コメディー・ホラー』だったのか」と思ってしまう。
ジャスティン・ロングが登場しただけで、真面目に観る気を失くしてしまう。
コメディ確定と思い込む。
実際、私もロングが登場した時点でモード・チェンジした。
「正しい姿勢で真面目に観るモード」から、
「体を斜めにしてソファに凭(もた)れかかり、半笑いで観る」モードに頭を切り替えた。
ここで難癖をつけさせてもらう。
- いくら何でも、間抜け男の度が過ぎる。
- 間抜け男が失敗をするたびに物語が前に進むというシナリオ作りは、如何なものか。
何かというと、手に持っていたアイテムを落とすジャスティン。
懐中電灯、ナイフ、銃……
どんだけ弱い握力なんだよ、っていう。
で、そのジャスティンの間抜け男プレイを切っ掛(きっかけ)にして、状況がどんどん悪い方へ進んでいく。
後半はそんな安っすいイベント駆動ばかりで、白らけた。
ビル・スカルスガルド
最初の噛ませ犬っぽい男、どっかで見た事あるな、と思ったら「IT/イット “それ”が見えたら、終わり」の人か。
苗字が北欧神話っぽい。
変身ヒーローみたい。
「仮面ライダー・スカルスガルド」
ラスト
主人公が怪物を銃で撃った瞬間にスパッと物語を終わらせてスタッフ・ロールに移る潔(いさぎよ)さが、心地よかった。
やっぱり映画はラストが一番大事だよな、と、あらためて思った。
ジャスティン・ロングの「間抜け芸」頼りな展開に興ざめしていた私も、この潔いラストを観て「全体としては悪くない」という感想に落ち着いた。