「秋の牢獄」を読んだ
作 恒川光太郎
収録作品
- 秋の牢獄
- 神家没落
- 幻は夜に成長する
ネタバレ注意
この記事にはネタバレが含まれます。
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ひとこと感想
私は、同作家の「夜市」に関する感想記事で、以下のように書いた。
- 異世界で暮らしたい、異世界を旅したい。
- 異世界だろうと何処だろうと、時は流れ、人は老いる。どんな物事にも終わりがある。
この2つが、恒川の2大テーマなのかもしれない。
この短編集も、大体そんな内容だった。
恒川の描く「異世界」は、我々の住む現実世界と隔絶された全く別の世界ではない。
それは、我々の世界の直(す)ぐ隣に存在している。2つの世界の間には、ごく薄い膜があるだけだ。
表題作「秋の牢獄」について。
いわゆるタイム・ループものだが、恒川の関心はタイム・ループの仕掛けそのものではない。
「タイム・ループ現象によって、現実世界に居ながらにして、まるで別世界に飛ばされたかのように社会から隔離されてしまった人々」にあった。
なるほど。
タイム・ループ現象は、現実世界を異世界に変換してしまうのだな。
言われてみれば、確かにその通りだ。
これがタイトルにある「牢獄」の意味か。
ここでも恒川の関心は第1に「現実世界の隣にある異世界」であり、第2に「異世界だろうと何処(どこ)だろうと、時は流れ、やがて人は去る(=死ぬ)」という無常さだった。
2022-10-21
19:41