青葉台旭のノートブック

「猟奇の果」を読んだ

「猟奇の果」を読んだ

作 江戸川乱歩

ネタバレ注意

この記事にはネタバレが含まれます。

この記事にはネタバレが含まれます。

この記事にはネタバレが含まれます。

この記事にはネタバレが含まれます。

この記事にはネタバレが含まれます。

ひとこと感想

この作品の一般的な評価は「失敗作」だろう。
乱歩自身もそれを認めていたと思う。

だが、私は好きだ。

現実に飽き飽きしている高等遊民の男。
彼はスリルを求め夜の街を歩く。
たまたま通りがかった見世物小屋の前で、出版社社長をしている友人と瓜二つの男を見かける。
好奇心から友人そっくりの男を追ううち、彼は巨大な陰謀に巻き込まれる。

……というお話。

乱歩先生、雑誌編集部の依頼を受け、構想も無いまま行き当たりばったりで連載を始めたらしい。

そのためか、前半と後半でかなり雰囲気が違う。

乱歩自身が書き直したもう一つのバリエーションでは後半部分がバッサリと切られ、「すべては友人の仕掛けたイタズラだった」という取って付けたようなエンディングになっている。
よほど最初のバージョンの後半部分がお気に召さなかったらしい。

だとしても私は、この後半部分が好きだ。

秘密結社が、狂った天才医師をアジトの地下室に閉じ込めてそこを「人間改造工場」と名づけ、結社のメンバーに整形手術を施し政府財界要人のソックリさんに仕立て上げ国家転覆を企てるという発想は、仮面ライダーの先駆けにも思える。

こんなSF的・変身ヒーロー的な発想が戦前すでにあったのか。

2022-06-14 09:55