青葉台旭のノートブック

マストドン(OStatus)は分散処理サービスというよりブログ・SNS記事流通サービスであるべきだ。

つまり古典的なメール転送網とメーリングリスト・アプリケーションを、いかにしてブログ・SNS記事フォローサービスに 置き換えるか、という話だ。

それなのに、

「大企業が支配するSNSからのユーザーの解放」
→「絶対的な権力者のいないシステム」
→「分散システム」

みたいな文脈で語られていて「すわ、新たな分散処理システムの登場か! そんなものが個人の手に負えるのか?」という感じで話が進んでいる。

「連合タイムライン」なるものを見た時には、その「1にして全」な雰囲気に驚いたが、あれは余興というかオマケ機能みたいなもので、 おそらく、これから連合全体のユーザー数が何百万人何千万人になった時には間引いて表示されることになるだろう。

神のごとき巨大な1つの「マストドン・サーバー」を仮想して、各々のサーバーがその負荷を担いつつ、あたかも全ユーザーがその一つの サーバーにアクセスしているかの如く振舞う……という話ではない。

そうではなくて、人々が求めているのは、自分のフォロワーに確実に自分の記事が送り届けられ、自分のフォローしている作者の記事が、 確実に自分の手元に届く……ただそれだけの仕組みである。

それは、要するに、古典的なメール・サービスとメーリング・リストの再発明という話だ。

そもそも今にして思えば、フェイスブックにしろ何にしろ、SNSというものの本質は、最初から「ベター・メールサービス」だったのろう。 「かゆいところに手が届くメール送受信システム」を人々は欲している……それだけの話だ。

SNSの本質が「メールの再発明」なら、早急に構築されるべきは誰でも参加できるメール流通生態系だ。
私がポストに投函した手紙が → 地元の郵便局に届けられ → 東京都○○区の郵便局に届けられ → 東京に住む友人の家の郵便受けに確実に届けられる……この流通網の構築だ。

そして、この流通網には日本郵便だけでなくヤマト運輸も日通のペリカン便も佐川急便も、いつでも自由に参入できる。

自分の携帯電話がドコモだろうがauだろうがソフトバンクだろうが、番号さえ間違えなければ世界中のどの電話会社にも 確実に声が届くように……ドメイン名さえ登録してあれば、自宅のパソコンでメールサーバーを立ち上げるだけで今日からでも世界中のメールサーバーからメールが届き、世界中のメールサーバーにメールを送れるように……誰でもいつでも自由にOStatusサーバーを立ち上げ、立ち上げた瞬間から他のOStatusサーバーのユーザーをフォローしフォローされるようになる……皆が欲しているのは、ただそれだけの仕組みだ。

そこに「GMail」や「Outlook」のようなビッグ・プレイヤーが居ても、それはそれで構わない。

大事なのは、私が自宅のパソコンで細々と立ち上げたsendmailサーバーから送ったメールをちゃんとGmailが受信し、 Gmailから私のaobadaiakira.jp宛に送られたメールを確実に私の自宅サーバーが受信すること。そのオープンな仕組み。ただそれだけだ。

2017-04-17 08:46