最近、地方自治体が萌え系イラスト・ポスターを作って非難される事案がいくつかある。
芸術作品は、必ずしもマーケティングだけが制作動機ではない。
それは良い。
しかし「その作品のキャラクターを使った『タイアップ』は間違いなくマーケティングである」
地方自治体とアニメ作品とのタイアップ(例えばポスター制作)において、まず優先されるべきは「クライアントたる地方自治体の意向」そして「その自治体に税金を収めている住民の意向」だ。
それで作品の芸術性が損なわれると思うのなら、タイアップそのものを断るべきである。
引き受けた以上は「クライアントが何を求めているのか」これは充分に汲み取る必要がある。
「萌え」というものの中に、何らかの「性的なもの」が含まれているのは、否定しようがないだろう。
そして地方自治体が税金を使って印刷したポスターに性描写があれば、住民の反感を買う事は充分に予測できたはずだ。
これは「善悪」の問題ではない。「マーケティング」の問題だ。
なぜイラストを提供したクリエーターは、クライアントが地方自治体だという時点で「萌え=ある種の性描写」を抑え気味にイラストを描けなかったのだろうか。
たとえば、「萌え」読解能力の優れた趣味人たちが見ると「ニヤリ」と出来て、そういうリテラシーのない一般人から見たら単なる「可愛いだけの」ポスターというのも、巧妙に作ろうと思えば出来たはずだ。
つまり「萌え」カルチャーに対するリテラシーの有無で、二通りの文脈で読み取れるポスターということだ。
なぜ、そういう巧妙さを発揮できなかったのか。
住民の反対運動でポスターが剥がされるなどという騒動は、誰のためにもならない。
ついでに言えば、地方自治体側のフロントラインにいた担当者は、いったい何をしていたのかと問いたい。
性的表現が一定ラインを越えたら、住民の反対運動が起きることは充分予想できたはずだ。
住民とクリエーターの橋渡し役たる自治体側の担当者は、何を考えていたのか。
ちゃんと、話し合いをしたのか。丸投げだったのではないか。疑問が残る。
*以下、宣伝。
青葉台旭・作
ハーレム禁止の最強剣士!
自作の小説です。よかったら読んでみてください。