ブログ「シロクマの屑籠」のエントリー「『イケメンは話がつまらない』を男性側から考える」について。
Elly大使という人の書いた、
というブログ記事を受けて、はてなでブログを書いているシロクマ氏が、
という記事を書いている。
それで私もそれに乗っかって、シロクマ氏のブログを読んだ感想を書く。
2016年8月7日現在、元記事の閲覧が出来たり出来なかったりしている。
Books&Apps とかいうブログ運営者のサーバー(blog.tinect.jp)上にある他の記事は問題なく閲覧できるのだが、なぜかElly大使氏の書いた件(くだん)の記事だけは時間帯によって閲覧出来たり出来なかったりする。
これは一体どういうことだろうか。
まあ、それは、ともかく……
Elly大使氏とシロクマ氏は、同じ「イケメン」という名前の、別々の生き物について語っている。
男であるシロクマ氏が「イケメン」と言った場合、それは、日本中にいるイケメンを一般化した姿だ。
しかし、Elly大使氏が取り上げている「イケメン」とは、「月20回合コンに行く女を目当てに、自らも月20回合コンに行く特殊な趣味を持った男たちの中での『イケメン』」という話だ。
つまり、母集団が違う。
男であるシロクマ氏が「イケメン」と言った場合の母集団は、あくまで「男全般」である。
シロクマ氏が対象にしている母集団は、あくまで「男全般」であり、その中での部分集合「イケメン」についての話である。
だとしたら、出てくる結論は、
「イケメンにも頭の良い奴と悪い奴が居る、イケメンにも性格の良い奴と悪い奴が居る、イケメンにも話の面白い奴と詰まらない奴が居る……色々でしょう」
「ブサメンの話が常に面白いという訳でもないし、イケメンの話が常につまらないという訳でもないよ」
……という確率論としては真っ当な、そして話としては詰まらないものであるだろう。
しかし、日々恋愛ゲームを楽しみたいElly大使氏にとっての「男」は違う。
Elly大使氏が「イケメン」と言った場合の母集団は、「恋愛ゲーム・マニア」の男たちである。
Elly大使氏が「男」と言った場合、対象にしているのは「合コン・マニアの、あるいは恋愛ゲーム・マニアの男たち」という母集団だ。
その属性バイアスの掛かった母集団の中での「イケメン」という部分集合について語っているのだ。
Elly大使氏が暗黙のうちに対象にしている特定の「男」たち……つまり、「合コン・マニアの男たち」「恋愛ゲーム・マニアの男たち」の間には、普通の男以上に、「恋愛上手になるために努力すべし」という暗黙の倫理観があるのかもしれない。
また、そういう男たちと恋愛ゲームを楽しむ女たちの中にも、「男は常に恋愛上手であるべきで、私たち女たちを楽しませて当然」という暗黙の価値基準があるだろう。
おそらくElly大使氏は、それが仲間内では「暗黙・当然」の事として共有できていたがゆえに、「男は、女を(会話やセックスで)楽しませるためのテクニックを常に鍛錬すべし」という恋愛ゲーム・プレイヤーたちの倫理観を、うっかり一般人の男女も見ている公開ブログ上で、注釈も無しに大前提にして話を進めてしまったのではないだろうか。
例えていえば、こういう話だ。
ある男が、こういったとしよう。
「生まれつき身長が高い男っていうのは、その恵まれた身長ゆえに努力しないんだ」
あなたは、それを聞いて「そうかな?」と首をかしげるだろう。
あなたの部下のAくんは身長が高いけど努力家で、あなたの部署の中でも仕事の質は一番高い。あなたと同期入社のB氏は、身長は195センチあるが、人一倍努力家で、同期の中では出世頭だ。
「身長が高いやつは、その恵まれた身長ゆえに努力を怠りがち」なんて非論理的で、偏見も良い所だ……あなたは、こう思うだろう。
……しかし、このセリフを言ったのがバレーボール部のキャプテンで、このセリフが今年の新入部員たちの評価だとしたらどうだろうか?
「ひょっとしたら、そういう事も、あるかも知れない」と、あなたは納得してしまうのではないだろうか。
つまり「バレーボール好きな人々の集まり」という特殊な母集団における、「バレーボール好き」の価値観の中では、それはそれで筋が通っているのかもしれない、と。
結論。
Elly大使氏が話題にしているのは「月20回合コンに行く女たち」と「月20回合コンに行く男たち」がプレイヤーに名を連ねる「特殊な業界」での話である。
われわれ一般人が、一般人の常識を当てはめて「その決めつけは論理的じゃないぞ」と首をかしげても仕方の無いことだ。
「その業界では、そういう事もあるかもしれないなぁ」くらいに思っておくのが良いのではないだろうか。