暇があると「装甲騎兵ボトムズ」を見ている。そうかこれはフィルム・ノワールだったんだな。
(リンクはアマゾンのDVD販売だが、私が見たのはバンダイ・チャンネルだ)
せっかくバンダイチャンネルの有料会員になったので、ひまを見ては、断続的に装甲騎兵ボトムズを見ている。
子供の頃に見ていた記憶はあるが「ハードで男くさいSFアニメ」という、漠然とした記憶しかなかった。
いい大人になってから改めて見ると分かる。そうか、これはフィルム・ノワールだったんだな。
軽くあらすじを記す。
「バララントとギルガメスという二つの勢力が銀河系を二分して戦争をしていた。
主人公キリコ・キュービィはギルガメスの兵士として、大戦末期に謎の作戦に参加する。
ある小惑星の研究施設を急襲するという作戦だったが、そこは実は味方の施設だった。
そして、主人公の兵士キリコは、その研究施設で冷凍睡眠カプセル(のようなもの)で眠る全裸の美女を目にする。
突然、目を覚ます美女。
美女とキリコの目が合う。
しかし直後、キリコは仲間の裏切りにより宇宙に放り出され、カプセルの美女は裏切り者たちによって運び出されてしまうのだった」
以後、主人公キリコは美女の姿を見たことが原因で、軍、警察など複数の組織から命を狙われる事になる。
そしてキリコは、自分の運命を狂わせた謎の美女を追い求める決意をする。
つまり、この「謎の美女」というのは、フィルム・ノワールでいうところのファム・ファタル(運命の女)なんだな。
ちなみに、ファタルというのは「運命的」と訳されることが多いが、多分「致命的な」という意味も含まれていると思う。
つまりファム・ファタルというのは「運命の女」という意味と同時に「致命的な女」という意味なんだな。
「男にとって、近づくことが破滅を意味すると分かっていても、その魅力に惹かれて、どうしても追い求めてしまう女」という意味だろう。
まあ、それはさておき、第一話で運命的な出会いをした「謎の美女」を追い求める男の物語……これが「装甲騎兵ボトムズ」の一番基本的な物語の動機なんだな。
これは、フィルム・ノワールの一つの典型的な型だ。
そういえば「主人公一味の男が、酒場で警官に目を付けられて便所へ連れて行かれた後、その便所のドアの向こうから警官に殴られているような物音と男の悲鳴が聞こえてきて、他の客が怖がる」
という描写があったが、これは「フレンチ・コネクション」に似たようなシーンがあったから、そこから引用しているのかもしれない。
まあ、フレンチ・コネクションは、主人公と中年オヤジ刑事たちが延々追い続けるのは、美女ではなく中年オヤジばかりの犯罪者集団だが。
また、退廃的な近未来都市をサーチライトで照らしながらヘリコプターが降下していくシーンは、ブレードランナーからの引用があったような気がする。
私が今の所気付いているのは、こんな所だが、もっと映画に詳しい人が見れば、他のフィルム・ノワールからの引用に気付くかもしれない。
オープニングが、必ず主人公のナレーション(一人称)で始まるのも、ハードボイルドっぽい。
*以下、宣伝。
青葉台旭・作
ハーレム禁止の最強剣士!
自作の小説です。よかったら読んでみてください。