青葉台旭のノートブック

「少年探偵団 第一部 妖怪博士」を観た

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脚本 小川正
監督 小林恒夫
出演 岡田英次 他

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ひとこと感想

1956年(昭和31年)公開。

ご存じ江戸川乱歩原作の小学生向け探偵児童文学が原作。
ゆえに、たわい無い子供向けのお話。
ストーリーに関して、良い大人が真面目に語るような代物ではない。

東映制作。
同年にラジオ・ドラマが大ヒットし、どうやらその勢いに乗って映画化された物らしい。
かの有名な「ぼ、ぼ、僕らは……」で始まる少年探偵団のテーマ・ソングは、そのラジオ・ドラマが初出という事だ。
同テーマ・ソングは、この映画にも使われている。

少年探偵団は、それ以前にも松竹によって映画化されている。

上映時間わずか57分。

子供向けの映画だから短いのか……と思って観ていたら、何と、これ1本でストーリーが完結しなかった。
どうやら「第二部 二十面相の悪魔」に続くらしい。
それで、タイトルに「第一部、第二部」と入っているのか。
劇場用映画にも関わらず、テレビのような続きものになっている訳だ。

のちに制作された「月光仮面」も、1本の映画で完結しない連続ドラマ仕様だった。
私は未見だが「君の名は」も三部構成だったらしい。

「スターウォーズ」シリーズ、「ロード・オブ・ザ・リング」、「ハリーポッター」、あるいはマーベル作品など、映画1本で完結せずに何本も何年もかけて壮大なサーガを語っていく手法を最近のハリウッド映画は良く使う。
それと同じ興行形態が、既に1950年代の日本に有った訳だ。

「君の名は」にせよ「少年探偵団」にせよ「月光仮面」にせよ、ラジオ・テレビの連続ドラマのヒットを受けての劇場映画企画だ。
現代で言えば、テレビアニメが大ヒットして、その勢いで再編集版が劇場公開されるようなものか。

上に述べたように、ストーリーは完全な子供向けで大人の鑑賞に耐えられるような代物ではないし、子役たちも可愛らしさは有るにせよ、お世辞にも演技が上手いとは言えない。

それでも、私は結構楽しく観られた。

まず、昭和30年代初頭の東京の風景が良い。
高度経済成長が始まったばかりの日本。
まだまだ空き地や野っ原の多い住宅街。
和洋折衷の建物。
あるいは1950年代モダン建築。
短パンに野球帽の少年たち。
漫画「ドラえもん」連載開始の13年前に撮影された、昭和都市郊外の原風景。

怪人二十面相のアジトとなる怪しげな洋館も、良い雰囲気だ。
あれは実在の建物を使ったロケだろうか? それとも屋外セットを組んだのだろうか?

明智小五郎の存在感が、際立っていた。
単にイケメンというだけでなく、立ち居振る舞いに存在感がある。
岡田英次。
ガラス越しのキスで有名な「また逢う日まで」の人か。
どうりでイケメンで存在感がある訳だ。

変装の達人・怪人二十面相役の南原伸二(のちに宏治に改名)の演技と特殊メーキャップも楽しい。
ホームレス、屋敷の主人、老婆、さらには外国人(白人)にさえ変装する怪人二十面相をそれぞれ演じ分ける。
英国帰りの名探偵・殿村も特殊メーキャップを施した南原が演じているらしいが、そう言われなければ全く分からない。

明智小五郎とバディを組む警部役は神田隆。
東映時代劇に良く出演していた。
「マイティジャック」「怪奇大作戦」「仮面ライダー」にもゲスト出演。

ラストのミニチュア爆破シーンは、白黒映像ながら結構がんばっている。

今回、明智小五郎と怪人二十面相が争奪戦を繰り広げる『お宝』は新型原子炉の設計図なのだが、「通常の原子炉から排出される放射性物質を焼却する原子炉」と説明される。
これは、今で言う「プルサーマル」の事か。

2022-05-05 00:26