1.
私は、公園で
どうやら私の子らしい。
母親(つまり私の妻)は見当たらなかった。
気持ちの良い秋の爽やかな空の下、私は
ちょうど公園内にある公衆便所の前を通り過ぎた時、赤ん坊(=私の息子)が泣き出した。
(おしっこがしたいのか?)
私は思った。
私の息子は
すぐ近くに公衆便所がある。
私は(便所の前でおしっこを知らせるなんて、我が息子ながら頭が良いなぁ)などと思いながら乳母車から赤ん坊を抱き上げ、便所に入った。
そして息子のズボンを脱がせ、便器の上で「さあ、おしっこをするんだよ、しーっ、しーっ」と言った。
私は、息子におしっこをさせる時は、いつも「しーっ、しーっ」と言うことにしていた。
そうすると、おしっこの出が良いような気がするのだ。
ちょっとしたおまじないのようなものだ。
しかしその日、公園の便所で、息子はいつまでたってもおしっこをする気配が無かった。
いくら私が「しーっ、しーっ」と言っても、ますます泣くばかりで、なかなかおしっこをしてくれない。
私はだんだん
しかし、いくら焦って「さあ、おしっこをしなさい……しーっ、しーっ」と言っても赤ん坊はおしっこをしてくれない。
私の声はどんどん大きくなり、私の気持ちはますます
そこで目が覚めた。
昨日飲んだビールのせいで
急いで便所へ行って用を足した。
……あのまま夢の中の赤ん坊がおしっこをしていたら、現実の私も布団の中でおねしょをしていただろう。
ありがとう……夢の中の私の息子よ。君のおかげだ。君がおしっこを我慢してくれたおかげで、おねしょをしないで済んだ……助かった……