受付嬢さん、ごめんなさい。
こうして神様はトラック転生を果たし、俺は異世界……じゃなかった、異惑星に取り残された。
なんで異惑星って言葉にこだわるかっていうと、いちおうジャンルがSFだからだ。
まあ、それはそれとして、東京日本橋から熊谷へ伸びる国道17号線の前で
「とりあえず、熊谷方面へ行ってみるか」
あても無く、俺は熊谷へ向かって国道沿いにトボトボ歩き出した。
しばらくして「冒険者の町」という所に着いた。
いかにも中世風といった感じの素朴な町だった。
道行く住人たちの目には、NASAの開発した銀色一色のツナギ式サウナスーツを着た俺は、まるで宇宙人のように映ったことだろう。
……いや、まさに俺は宇宙人な訳だが。この異惑星では。
通りを歩いていて、ふと見ると「冒険者ギルド」の看板が見えた。
とりあえず、中に入ってみる。
ギルドの中には、目つきの悪いチンピラみたいな男たちが大勢いた。
みんな何かしらの武器を身に着け、防具を装着している。
ギロリ、と冒険者ギルド内のチンピラみたいな男たち(たぶん、冒険者)が俺をにらんだ。
ごくごく平凡な高校生である俺にとっては、かなり痛い視線だ。
俺は内心ビクビクしながらゴツイ男たちの間をすり抜け、奥の受付カウンターに行った。
「いらっしゃいませ~。ご用件はぁ~、何でしょ~う」
巨乳で金髪で美人だが、いかにも天然そうな受付嬢のお姉さんが言った。
巨乳で金髪で美人で、いかにも天然そうだったが、俺の好みだった。
好みといっても俺の脳内ランキングでいうとナンバー2、ナンバー3クラスで、一番好きなタイプではなかった。
「あのぉ、冒険者になりたいんスけど」
我ながら、言い方がバカな高校生丸出しだな、という喋り方になってしまった。
しかし、俺のバカな高校生丸出しの言い方でも、脳内ランキング、ナンバー2、ナンバー3クラスの天然受付嬢のお姉さんには通じたみたいだった。
「はぁ~い。冒険者ギルドの登録ですね~。あちらのガチャガチャマシンのお金を入れてカプセルを取ってくださ~い。それが君のステータスで~す。ちなみに、入れた金額が高ければ高いほど、ステータスも高くなりま~す」
(結局、金次第かよ。せち
俺は言われたと通り、ガチャガチャマシンの前まで歩いて行くと、サウナスーツのポケットを
100円玉が2枚出てきた。
そのうちの一枚をガチャに入れる。
ざわざわしていたギルドの待合室が、しーんと静まり返った。
「え?」
待合室じゅうの視線が俺に集中しているのが分かる。
もともと、よそ者で全身銀色の宇宙人みたいな恰好をしている俺は、ギルドの建物に入った時から注目の的だった。
しかし、今は、チンピラ冒険者たちの視線が全身に突き刺さって、痛いぐらいだった。
(な、なんか悪い事でもしたかな?)
不安になる俺。
「おい……見たか?」
冒険者たちが俺を見ながら互いにヒソヒソ話を始める。
「ああ、見たぞ」
「不思議な輝きのコインだった……」
「見た事もない
「きっと金貨100枚以上の値打ち
俺がポケットから出した何の変哲もない100円玉が、どうやらこの世界では金貨100枚にも相当する価値があるらしい。
(へへへ、良いこと聞いちゃった)
そう言われると、100円玉を何気なくガチャに突っ込んだのは、もったいないような気がしてきたが、今さら後戻りも出来ない。
(それに初期ステータスは大事だからな。先行投資だと思えば……)
ダイアルをガチャガチャ回して、すっぽーん、と出てきたカプセルを手に持った。
「あのぉ……これ、どうすれば……」
またしてもバカ高校生まる出しのしゃべり方で巨乳金髪天然美人受付嬢に聞いた。
「すてーたす・おーぷんっ! って唱えながら、カプセルをパカッ、と開けてくださ~い。パカッとね~」
「そ、そうっスか、パ、パカッと、ですね?」
ようし。やったるでー。
おれはガチャのカプセルをパカッと開けながら大声で叫んだ。
「ステータス・オープン!」
俺の頭の上に、半透明の3Dディスプレイみたいな感じで、でかでかとステータスが表示される。
ギルドの待合室じゅうの人間が一目で見られるくらいの巨大な文字だった。
「おお!」
ギルドのチンピラ冒険者の間から驚きの声が上がる。
――――――――――――――――――――
ハンドル名:ドーテー・オブ・ドーテー
種族:地球から来たエイリアン
年齢:高校生
攻撃力:弱い
知力:ふつうよりちょっと下
魅力:下のほうのふつう
敏捷性:まあまあ
経験値:童貞
*** 好みの女のタイプは↓これ。***
赤髪のショートカットの眼鏡っ
――――――――――――――――――――
は……恥ずかしぃ―!
俺の性的な趣味まで全チンピラ冒険者に公開かよっ!
予想通り、チンピラ冒険者たちは、どっ、と一斉に笑い出した。
「きょ、巨乳の姫騎士って、おまえ……」
「ぼ、ぼ、僕っ
「白と水色のボーダー
巨乳金髪天然美人受付嬢の方を見ると、俺を軽蔑の目で見ていた。軽蔑というか、気持ち悪い生き物でも見るような目だった。
「うわあ、キモっ」