映画「PERFECT BLUE」を見た
映画「PERFECT BLUE」を見た
Bandal Channel にて。
脚本 村井さだゆき
監督 今敏
出演 岩男潤子 他
ネタバレ注意
この記事にはネタバレが含まれます。
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ひとこと感想
20年ぶりの再視聴。
やはり面白い。
以下に、現在(2022年)の地点から本作品を観た私の頭に浮かんだキーワードを羅列する。
私の望んだ私と、社会から望まれた私、理想と現実、夢と現実、妄想と現実、妄想と妄想、私の妄想と誰かの妄想。
現実と妄想を行き来するアニメならではの表現。
主演の岩男潤子は、実在のアイドル・グループ『セイントフォー』の元メンバー。
マネージャー役の松本梨香は『ポケモン』のサトシ。
Jホラーとの共通点。(本作品の公開は、ホラー映画『リング』とほぼ同時期)
1990年代後半の日本の空気感。バブル崩壊後〜SNS登場前。ようやくインターネットが普及し始めた頃。
まだケバケバしい家電の看板が街を埋め尽くしていた頃の秋葉原。
電気街→自作パソコンの街→美少女フィギュアの街→メイド喫茶・萌え文化→青果市場後地の再開発→ビジネス・オフィス街と
移ろって来た秋葉原の、『美少女フィギュア』の時代あたりか。
(紙の)雑誌が、まだメディアの中心だった頃。
日本人全体がバブル狂乱の夢から醒めて、しかしまだ『永遠に続く平凡な日常』を受け入れられずにいた頃。
この後、2000年代〜2010年代のインターネットと情報端末の急速な進歩を経て、日本人は、現実の平凡さを受け入れ、同時に、ネット空間・バーチャル空間の中に様々な楽しみを見い出し、そこで自己表現・文化的消費をするようになる。
そしてバーチャル空間で楽しむバーチャルな私は、簡単に地理的・物理的距離を越え、日本中、世界中のあらゆる場所の人とフラットに交流する。
『バーチャルな私』がバーチャル空間で必要充分な楽しみを享受し、世界に向かって開かれているのなら、『現実の私』の生活圏は平凡でも構わない。
むしろ積極的に、現実世界は『平凡かつ物静か』な空間であって欲しいと望む。
日本の経済力が相対的に落ちてしまった現在、その『平凡かつ物静か』こそが難しくなってしまった訳だが。
現在われわれが受け入れている『現実の私』と『架空の私』との関係は、この作品が作られた頃のそれとは、だいぶ違ったものに変化しているだろう。
例えば、VTUBERの隆盛が象徴するように、『架空の私』を積極的に楽しもう、というのが現代(2022年)だと思う。
江戸の市民が『歌舞伎の黒子は見なかった事にするのが粋(いき)』と言ったように、現代の我々の中にも、『宇宙からやって来た美少女VTUBER(男)』が「アイドルはトイレなんかに行かないんだぞ! ぷんぷんっ」などと発言するのを、『分かった上で受け入れる』文化基盤が既に形成されているように思える。