「未成仏百物語」を読んだ
作 黒木あるじ、最東対地、小田イ輔、黒史郎、松村進吉
いわゆる「実話怪談系ホラー映画」のノベライズらしい。
割とサクッと読める。
実話怪談というのも、なかなか難しいジャンルだ。
実話という体裁のため、凝った人物描写、心理描写、凝った話づくりはご法度だ。
結果、「実話怪談」すべてに共通する文体が出来上がってしまっている。
「これは三年前の夏、埼玉県在住Aさんの身に起きた出来事である。当時、専門学校に通っていた彼女は、仲の良い友人と三人で真夜中のドライブに出かけた。目的地は心霊スポットとして有名なB峠トンネルである」
みたいな語り口だ。
実話怪談に限らず、あらゆるジャンルは、
- そのジャンルを名乗る以上、必ず守らなければいけないフォーマット
- 飽きられないための豊富なバリエーション
背反するこの二つの要素を必ず備えなければいけない。でなければ繁栄しない。
その両者の塩梅(あんばい)、バランスが難しい。
2021-09-02
07:46