青葉台旭のノートブック

映画「砂の器」を観た。

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脚本 橋本忍、山田洋次
監督 野村芳太郎
出演 丹波哲郎 他

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5回書いたからセーフ。

役者の存在感が素晴らしい。

丹波哲郎、森田健作、加藤剛、島田陽子、加藤嘉……いやはや、みんな存在感が素晴らしい。
顔に実在感がある。
薄口しょうゆ味じゃない、本醸造丸大豆しょうゆ的な味の濃さが素晴らしい。

中でも個人的にグッと来たのが、気の良い村の駐在さん役の緒形拳。
実質的には物語後半に初登場、しかも意図的にセリフの音声を消された無音劇での登場にも関わらず、もう、出た瞬間から滲(にじ)み出る『名も無き聖人』感が素晴らしい。

仏のように慈悲深い田舎の駐在さんだった被害者が、なぜ殺されねばならなかったのか? というのが、この物語を貫くモチーフの一つだ。

ということは、被害者の『人の良さ、優しさ』が真に迫っていればいるほど、物語の悲劇性が増す構造だ。
先に書いたように、この駐在さんが事実上初登場するのは後半の回想シーンだ。
しかも音声を消した無音劇。
二時間強の映画の中で、緒形拳のセリフは、家出した少年の名を叫ぶ場面と、成長した犯人に「父親に会ってくれ』と語りかける場面だけ。

その駐在さんの『良い人オーラ』が凄い。
それが、一つの説得力になって、この物語の悲劇性を増幅させている。

探偵の『解決シーン』それ自体を長い劇にする構成について

「探偵は、人を集めて『さて』と言い」

という有名な川柳があるが、一般的に、推理物の『解決編』は非常に様式化されたクライマックスで、そういう様式美が好きな推理小説マニアにとっては『いよっ、待ってました』とワクワクする場面である一方、そこまで推理物に興味のない一般客にとっては、一歩間違えば格好のギャグ・ネタになってしまう厄介な代物だ。

この物語は、その『解決編』自体を全編の半分近くもある独立した回想の物語にしてしまうという離れ技をやってのけた。

個人的には、この『解決編・回想編』に感動したのは確かだが、その一方で、ややウェットすぎると思ってしまったのも事実だった。

前半の『捜査編』について

丹波哲郎が日本全国を飛び回って徐々に犯人の人物像に迫っていく前半部は、余計な物が無くスリムで、それでいて常に『犯人の生い立ち』への興味を共有し続ける事が出来た。

犯人の愛人が可愛い

犯人の愛人である銀座の若いホステス可愛いなぁ、と思っていたら島田陽子だった。

女性にも2タイプあるんだな。

可憐な少女から大人の女になる過程で、こってり味が載って来るタイプと、逆にスリムになっていくタイプと。

個人的には、ある程度こってり味の女性がタイプです。

全ての女性はそれぞれに個性があって素晴らしくて、みんな素敵だと思います。

オーケストラの指揮者が犯人って、なんか良いよね

刑事コロンボにも、確か、そんなエピソードがあったが、知的で教養があって芸術的センスもあって、社会的地位も名声も金も、この世の栄光の全てを手に入れたかのような象徴的な存在としてのオーケストラの指揮者の欺瞞を、たたき上げの刑事がコツコツ努力して少しずつ少しずつ切り崩して行くのって、それだけでドラマとして興味をそそる。

2019-04-08 08:22