小説「黄泥街」のひとこと感想。
小説「黄泥街」のひとこと感想。
残雪 作
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5回書いたからセーフ。
ひとこと感想
面白い、楽しい、笑える、泣ける、ハラハラドキドキする、スカッとする……そういう分かりやすい「感動」もそれはそれで世の中に必要なのだろうとは思う。
その一方で、単純な「感動」に還元されない読後感を与える本も、少数だがこの世には存在する。
「すげぇな」と唸(うな)るしかない……呆然(ぼうぜん)となるしかない……そんな読後感に襲われる作品も、この世界には確かに存在する。
人は、その「呆然となってしまう読後感」を求めて本を読む。
この本には、それがあった。
黄泥街という地名は実在するらしいが、もちろん本作品における「黄泥街」は架空の土地だ。
「黄色い泥」というのが何を意味するかと言えば「うんこ」の事で、とにかく本作品は、うんこ、うんこ、うんこ、死体、腐った死体、腫瘍(できもの)、膿(うみ)、臭い、くさい、くさい、くさい……その連続。
そして、自分の言いたい事だけを言い放って他人とコミュニケーションを取ろうとしない登場人物。
いい加減なデマばかり言う登場人物。
その向こうに見え隠れする絶対権力を持つ巨大官僚組織の存在。
とにかく、自分勝手に喋り続ける自分勝手な人間ばかりの汚物まみれの街を一冊まるごと延々と描写した小説。
単なる上っ面の露悪趣味ではない。
凄みのような物を感じる。その凄みに胸を打たれた。
不条理文学と独裁的官僚体制
不条理文学と巨大な独裁的官僚体制との関連性について考えさせられた。
2019-01-27
15:24