短編集「だから見るなといったのに: 九つの奇妙な物語」を読んだ。 複数の作者によるアンソロジー。 新潮社文庫nex [amazonの紹介ページ](https://www.amazon.co.jp/dp/4101801320) あまりりす - 恩田陸 妄言 - 芦沢央 破落戸の話 - 海猫沢めろん とわの家の女 - 織守きょうや うしろの、正面 - さやか 自分霊 - 小林泰三 高速怪談 - 澤村伊智 ヤブ蚊と母の血 - 前川知大 誕生日 アニヴェルセール - 北村薫 ### ネタバレ注意 この記事にはネタバレが含まれます。ご注意ください。 この記事にはネタバレが含まれます。ご注意ください。 この記事にはネタバレが含まれます。ご注意ください。 この記事にはネタバレが含まれます。ご注意ください。 この記事にはネタバレが含まれます。ご注意ください。 5回書いたからセーフ。 ### ひとこと感想 全体的に良作ぞろいだった。
オチの切れもそこそこ良い小説が多い。 しかし、いわゆる『怪談』として見た場合、技巧的すぎるという印象も受けた。
やはり怪異の原因が分からず不思議な余韻を残すのが良い。
あるいは、呪詛の原因が分かったとき、最もゾッとするような構造のものが良い。
その点、この短編集は謎解きの答えあわせの鮮やかさだけを求め過ぎている感がある。
オチは上手いが『上手いオチだなぁ』と感心こそすれ、全てが理解できたときに心底ゾッとするようなものが無い。
「あまりりす」に関して。
ある種、諸星大二郎にも通じる、日本古来の土俗信仰とラブクラフト的宇宙神話の融合といった趣だが『語り』が偶然発見された音声テープレコーダーというのは、このご時世、いかがなものだろうか。ラブクラフトやそれ以前の怪奇小説がよく使っていた『発見された手記』の現代版ということなのだろうが、残念ながら本作では、その『仕掛け』が成功しているとは思えなかった。 あとで気づいたが、芦沢央の「妄言」は、同作者の連作短編集「火のないところに煙は」の中の一作だった。 ___Aobadai Akira___ date: 2018-8-29 time: 5:33 category: 本を読んだ ひとこと感想/本