映画のオープニング数十秒間で、「ああ、この映画は良い映画だ」と直感的に分かる事がある。
少々オカルトめいた話ではある。
映画が始まって最初の数十秒間で「ああ、この映画は良い映画だ」と直感的にわかる事がある。
最近だと「桐島、部活やめるってよ」が、そうだった。それと「ゴジラ対ヘドラ」も、オープニングで「これは良い映画だ」と直感したが、その直感は裏切られなかった。
何というか、オープニングの数十秒間で、既に独特の緊張感が漂っている。
それは、アクション映画に良くある「いきなりオープニングにアクションの見せ場を持ってくる」「いきなりオープニングにクライマックス・シーンを持ってくる」というのとも違う。
「桐島、部活やめるってよ」のオープニングは、ただ、女子高生が学校の廊下を歩いているだけだ。
それなのに、何とも言えない緊張感というか不穏な空気が漂っていて、観る者を映画の世界に釘付けにする。あの緊張感がいったいどこから来ているのか、未だに私には分からない。
オカルトめいた言い方になるが「何気ないシーンであっても、映画に対する作り手の情熱がフィルムから滲み出ていて、それが観客に伝わる」のだろうか。
ヘドラのオープニングも、グッと引き込まれるものがあった。
たしかに「ゴジラ対ヘドラ」のテーマソングには、ちょっと困惑する。
しかし、ヘドロのシーンから、汚水に浮かぶ不法投棄された壁掛け時計が鳴って、と思ったら、富士山をバックにキレイな花が映って、鳥のさえずりが聞こえて、「おいおい、この鳥の音声、ループしまくりで不自然過ぎるだろ。音響監督はちゃんと仕事しろ!」と思っていたら……という、あの演出は、素晴らしかった。まあ、ここまで数十秒ではなく数分が経過しているのだが。
そういえば「酔いどれ天使」のオープニングも、汚いヘドロの沼の水面から始まっていて、不穏な感じだった。
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