東京は、昔に比べて少しだけ静かな場所になったかもしれない。
東京に行く用事があって、数日間滞在し、その中で一日丸々休みがあったので「ひとり東京観光」を満喫した。
東京に暮らしていた頃と同じように、電車に乗って、いろいろな場所へ行ってみた。
電車に乗り繁華街を歩いていて、ふと思った。私が住んでいた頃よりも少しだけ街が静かになっているのではないか、と。
よく言えば、東京全体が落ち着いた街になったのかも知れない。
また一方で、活力が少し減っているとも言えるかも知れない。
それと、案外、風景も昔と大して変わっていないんだな、とも思った。
もちろん部分部分を見れば、スカイツリーが建ったり、エリア丸ごと再開発されて大きくて綺麗な商業施設に生まれ変わったり、八百屋さんが無くなってマンションになったり、店がつぶれて、そこに新しい店が出店したり、という事は常にどこかで行われているのだろうし、事実、街を歩いていて「あれ、あの店無くなっちゃったんだ。その後にこんな店が出来たんだ」と思う事は何度もあった。
しかし、全体を俯瞰して見たときの印象は「案外、変わっていないんだな」という感じだ。
例えば、発展途上国に良くあるようにジャングルのど真ん中にいきなり巨大ショッピングセンターが出現したり、見渡す限り砂漠だった所にいきなり超高層ビル群が建ったり、かつての日本で言えば、戦後の焼け野原から復興~高度経済成長といった、10年でその場所の景色がガラリと変わる、という事は、東京ではもう起きないのだな。
それは、もう「発展途上」の街ではない、充分に成熟した街なんだ、という事だろうし、逆に言えば「発展途上」特有のハングリーな活力はもう手に入らないのだとも言えるのかもしれない。
それと「静かな暮らし」を求めている人にとっても、「東京暮らし」は選択肢の一つとして「絶対にありえないという訳でもない」くらいにはなったかもしれない。