青葉台旭のノートブック

映画「プラン9・フロム・アウタースペース」を観た。

映画「プラン9・フロム・アウタースペース」を観た。

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私が観たのは、デジタル加工でカラー化されたものではなく、オリジナルの白黒バージョン。

脚本 エド・ウッド
監督 エド・ウッド
出演 グレゴリー・ウォルコット 他

ひとこと感想

ティム・バートンの伝記映画で有名な『史上最低の映画監督』エド・ウッドによる、『史上最低の映画』

しかし、実際に観てみると『最低すぎて笑える』という程でもない。
そういう意味では、話題先行の映画だった。

世間一般のいわゆる『最低すぎて笑える』映画は、実際のところ、多少なりともその『最低っぷり』を計算の上あえて演出している場合が殆(ほとん)どだと思う。
観客は『最っ低〜』などと言いながら、その『計算された最低っぷり』をゲラゲラ笑っているのだ。

対してこの『プラン9』は、正真正銘なんにも考えていない素人監督による、やっつけ手作り感が満載だ。
それこそが、ティム・バートンが愛した理由であり、エド・ウッドが『史上最低の映画監督』として有名になった理由である……というのは理解できる。

確かに『プラン9』を観ていると、中学校の文化祭に行って生徒たちが一生懸命に作った映画を観ているような、可愛らしさと微笑ましさの入り混じった感情が少しだけ湧く。

とはいえ2021年現在、『史上最低の、それゆえに愛すべき映画監督』としてエド・ウッドを神格化する意味は最早(もはや)無いと思う。

インターネットが社会の隅々にまで浸透し、誰もが自分の作品をタダ同然のコストで発表できる現在、世界は素人クリエーターで溢れかえっている。
昨年もっとも稼いだユーチューバーは、8歳の少年だそうだ。

私がこの記事を書いている今この瞬間にも、膨大な数の『愛すべき無名の素人クリエーターたち』が、膨大な数の『愛すべき素人作品』を投稿し続けている事だろう。
そして、その大半が、あっという間に広大なネットの海に流され、埋もれ、沈んでいく。

要するにエド・ウッドのような人物なんぞは、ウェブ・ブラウザを開けば幾らでも見つかるのが現代であり、ことさら彼を祭り上げる意味もなくなったと思う。

2021-02-03 06:00