青葉台旭のノートブック

映画「マローボーン家の掟」を観た。

映画「マローボーン家の掟」を観た。

新宿バルト9にて。

公式ページ

脚本 セルヒオ・G・サンチェス
監督 セルヒオ・G・サンチェス
出演 ジョージ・マッケイ 他

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5回書いたからセーフ。

ひとこと感想

アニャ・テイラー=ジョイ

アニャ・テイラー=ジョイが出ていた。

「ミスター・ガラス」に出演した時の彼女は、正直言って、マシュマロ的ワガママ・ボディーの兆候が見えていた。
ボクシングに例えると、ライト級からミドル級へ階級が上がった感じだ。

ところが今回、見事に体を絞っていて、「ミスター・ガラス」の時はパンパンに張っていた顎のラインがスッキリしていて驚いた。

いわゆる正統派の美人とは少し違うが、なんとも言えない魅力的な顔立ちの女優だ。

彼女のこれまでの仕事を見ると、ホラーやSFなどのジャンル映画が多いような気がするのだが、このまま彼女は、この手のジャンル映画女優になっていくのだろうか。

チャーリー・ヒートン

「ストレンジャー・シングス」の姉貴の彼氏役だった俳優が出ていた。
名前はチャーリー・ヒートンと言うのか。

こちらも正統派の美男子ではないが、ちょっと繊細で危なっかしいナイーブな若者、という雰囲気が良く出ている役者で、少し注目している。

雰囲気的には、「クロニクル」のデイン・デハーンに近い感じか。
それは良いのだが……おデコの生え際が繊細で危なっかしい所までデイン・デハーンに似てしまったよ。
長く垂らした前髪が風に揺れると、ちょっとスリリングだ。
これ以上おデコの領土拡大が進行しないよう祈るばかりだ。

文芸ホラー

さて、本作についての感想だが……

「文芸系ホラー映画」あるいは「アート系ホラー映画」とでも名付けるべきジャンルの映画が世の中にはある。
この映画も、「静謐な雰囲気」の中に「怖がらせる」要素を持ち込んだ文芸系ホラー作品だった。

叙述トリック

タネを明かせば、ヒッチコックの「サイコ」から連綿と続く「叙述トリック」と「多重人格の主人公」を組み合わせた物語で、終わってみれば「ああ、この手のやつね」という感じで、それほどの驚きは無かった。

鏡に関するくだりとか、ある時点から長男以外の兄弟と部外者が会わないように巧妙にストーリーを誘導する所とか、「ああ、ひょっとしてコッチ系の話なのかな」と鋭い観客なら気づくと思う。
映画を見ながら『何らかの叙述トリックを仕掛けられている』と察知できてしまう、というか。

それにしても……シャマランも罪つくりな監督だ。
「シックス・センス」以降、観客の『叙述トリック・リテラシー』が上がってしまったよな。
映画を観ながら「あ、いま叙述トリック仕掛けられてる!」っていう勘が働くようになっちゃったというか……

街並みや小道具の時代考証

気になった点を一つ。

ラジオで「アームストロング船長がどうしたこうした」とか言っている所から、アポロ計画盛んなりし1960年代末の物語と分かるのだが、町の雰囲気や人々の服装、自動車のデザインなどを見ると、もう少し古い時代の印象を受ける。

感覚的には、1940年代〜50年代のような印象なのだが、この時代考証は正しいのだろうか。

1960年代末といえば、アメリカを始め世界中がカウンター・カルチャーに染まっていたはずだ。
その感覚からすると、この映画は、町の描写があまりに牧歌的というか『古き良きアメリカ』感が強すぎる気がする。
確かに、ポータブル・レコード・プレイヤーが出てくるあたりは、60年代末という感じなのだが……

ひょっとしたら1960年代末のアメリカでも、ど田舎の方は、まだこんな感じで「遅れていた」のかも知れない。

結論

「ホラー映画の最高傑作」というような作品ではない。
どちらかというと物静かな古いアメリカの田舎を描いた「雰囲気映画」だ。

個人的には、そういう「古さ」「静かさ」「田舎の風景」の中でのホラー・ファンタジーというものへ好みが移っていて、そういう意味では満足できた。

「アメリカン・ゴシック・ホラーの佳作」といった所だろうか。

2019-04-23 23:26