ハーレム禁止の最強剣士!

設定と用語(ネタバレ無し)

 以下に設定と用語の記述をしますが、ネタバレはありません。
 本編を読む上で以下の記述を読む必要はありませんが、本編を楽しむ手助けにはなるでしょう。

○通貨
 人間社会においては、各都市国家で独自に金貨・銀貨を鋳造、発行している。
 金貨は、それを発行した都市国家の名前で区別する。(例)都市国家サミアの金貨=サミア金貨。
 旅人が都市国家を出国して別の都市国家に入国する際には、両替をする必要がある。
 ある都市国家の住人が、単に「金貨」と言ったら、その都市国家で発行された金貨をす。
 エルフ社会に通貨は存在しないが、人間と交易する時には便宜的に「人間の作った金貨・銀貨」を使用することがある。
 また、エルフ(と、一部の人間の魔法使い)にしか造る事の出来ない「魔石」を疑似通貨として人間と取り引きをすることもある。

○金貨・銀貨の価値
 現代(2010年代)の日本とは、社会制度や人々の生活習慣、貴金属の産出量も違うので、あくまで目安として考えてください。
 サミア金貨1枚=現代(2010年代)の日本の通貨に換算して、およそ六万円
 サミア銀貨1枚=現代(2010年代)の日本の通貨に換算して、およそ二千五百円

〇長さの単位
 長さの単位は、全ての人間の都市国家とエルフ社会で共通である。
 1レテム=およそ1メートル
 1カ・レテム=1000レテム=およそ1キロメートル
 1セ・レテム=100分の1レテム=およそ1センチメートル

〇重さの単位
 重さの単位は、全ての人間の都市国家とエルフ社会で共通である。
 1マーグ=およそ1グラム
 1カ・マーグ=1000マーグ=およそ1キログラム

○言語
 すべての人間とエルフが同じ言語を使用している。
 ただし生活習慣の違いから各都市国家、および各エルフ社会には「方言」が存在している。ごく一部ではあるが、都市国家間で、あるいはエルフと人間との間で、説明されないと意味の通じない単語もある。

○人間社会
 いわゆる国民国家は存在しない。
 都市国家が最大の統治単位である。

○都市国家
 都市国家とは、一つの都市(ごくまれに二つ、あるいは三つ)と、その都市が支配する周辺地域(都下とかと呼ぶ)をまとめた統治単位である。
 周辺地域(都下とか)の辺縁が、すなわち都市国家の「国境」である。
 一部の都市国家は、国境をめぐって隣接する都市国家と緊張状態にある。

○都市
 都市国家の中心地で、人口密度の極端に高い地域。
 多くの場合、都市国家の政治・軍事・経済の中心機能を持つ。
 一つの都市国家は一つの都市(首都)を持つ。ごくまれに二つ、あるいは三つの都市を持つ都市国家もある。
 ほとんどの都市はまわりをぐるりと囲む城壁によって、都下とか(支配している周辺地域)と区切られている。

都下とか
 ある都市国家の周辺地域で、その都市国家の支配下にある土地を「都下とか」と呼ぶ。
 都下とかの主な役割は、都市(首都)への農産物および地下資源の供給、税負担などである。
 また人口が増加している都市においては、周辺地域が「郊外住宅地」を形成している場合もある。
 都下とかには、都市よりも人口の少ない「町」や、さらに人口の少ない「村」がある。
 町や村は、都市(首都)に従属しながらも、独自の行政機関(町役場、町長、村役場、村長など)を持つ。

○森
 エルフの住む土地であり、人間にとっては不可侵領域である。
 たとえ自国の領土内(都下とか)にあっても、許可なく人間が入るべき場所ではない。

○エルフ
 森に住み、生まれつき魔力を持つ種族。
 ほぼ、人間と同じ外見だが、耳が長く三角形をしている。
 人間の基準で見て、ほとんどのエルフが美しい容姿をしている。
 理性を重んじ、感情は有害なものであると教育されるが、彼ら自身が思っているほどは無感情という訳でもない。
 多くのエルフは人間を下等な生き物として見下している。人間に対して礼儀正しく振舞ふるまう事もあるがそれは表面だけの事で、心の中には差別意識がある。
 エルフ長老会の命令は絶対だが、長老の命令が無いときは森の中で自由気ままに暮らしている。
 労働に従事することも滅多にない。

○エルフの亜種
 エルフには、ライト・エルフ、ダーク・エルフ、グリーン・エルフなどの亜種が存在する。
 その主な違いは、肌の色である。
 例えばライト・エルフなら金髪に白い肌、ダーク・エルフなら縮れた黒い髪に褐色の肌、グリーン・エルフなら緑の髪に緑の肌、という具合である。
 亜種間での能力、立場の優劣や差別意識は存在しない。
 人間社会には「ダーク・エルフの魔力は二倍」などという俗説があるが、根拠のないうわさである。

○エルフの人口
 人間に比べると圧倒的に少ない。
 出生数すなわち人口は長老会によって調整、抑制されている。

○エルフの性
 性的な感情も、他の感情と同じく有害なものとして抑圧されて育ち、性行為によって子を産むことを禁止されている。(生物学的には可能である)
 赤ん坊はエルフ長老会の秘儀によって生まれる。その方法は長老以外の一般のエルフには知らされていない。
 生まれた赤ん坊は無作為ランダムに選ばれた一組の男女のエルフに預けられ、教育される。
 選ばれた男女のエルフと赤ん坊のエルフは、長老会が指定した期間だけ「疑似家族」を作る。その組み合わせは約五年おきにシャッフルされる。
 また、家族の誰かが何者かに殺された場合、残された家族は復讐する義務がある。これはエルフ社会にとって感情の問題ではなく、構成員の安全を保障する社会システムである。
 エルフと人間が交わって混血児(ハーフ・エルフ)を産むことも生物学的には可能であるが、当然のことながら、エルフのおきてとして固く禁じられている。
 文化的にも、人間に対する差別意識が強いエルフが人間に恋愛感情を持つ可能性は低い。
 もし、人間に恋をするエルフが居たとしたら、それは異端である。

○エルフの食事
 エルフは木の実、野イチゴなど天然のベリー類、甘い樹液、蜂蜜はちみつなどを食する。
 動物は食べない。
 米、麦などの穀物を栽培して食するという習慣も無い。
 酒を飲む習慣も無い。
 複雑な料理をする習慣もない。せいぜい木の実を煮たり、蜂蜜はちみつ漬けにするくらいである。
 ハーブ茶などは好きである。
 しかし、人間社会で暮らす一部のエルフたちは、何らかの目的から人間と同じものを食べている。肉食もする。
 生物学的な消化能力は人間と同じだと思われる。偏食は単なる文化的なものである。

○エルフの服
 森の中に住むエルフは男女ともズボンとブーツを履く。
 派手な色や文様の生地より、自然な風合いの物を好む。
 しかし、ネックレスや腕輪、指輪、ベルトのバックルなどは金、銀、プラチナ製の精緻な彫刻を施したものを身に着ける。
 宝石類を身に着けることもある。
 人間の街に住む一部のエルフは、人間風の服装をすることもある。

○エルフと金属
 エルフは、プラチナ・金・銀以外の金属(卑金属)を直接さわることが出来ない。
 卑金属にさわると、ある種のアレルギー反応を起こし、その部分の皮膚が炎症を起こしたりたりする。また、気分が悪くなることもある。
 卑金属にさわっただけですぐに死んでしまうような事は、さすがに無い。
 従って、エルフの使う道具は全て貴金属性である。しかも「硬化魔法」によって強度を高められている場合が多い。

○エルフと人間との交易
(ごく一部の魔法使い以外)自ら魔力を生み出せない人間が魔法を使おうと思えば、エルフから「魔石」を買うしかない。
 一方で、エルフは自分で工作をする意志も能力も無いから、全ての道具類は人間に作らせて買い取るしかない。家さえも、人間の大工を森に呼んで作らせる。
 そのため、人間にとってもエルフにとっても相手の種族との取引は大事である。

○エルフと人間との暗黙の了解
 人間はエルフの森へ許可なく入ってはいけない。
 人間の領域に入ったエルフは、人間の法律と道徳に従わなければいけない。
 これは二つの種族間における暗黙の了解である。
 しかしエルフの側にも人間の側にも、これを破る者がいる。

○エルフの寿命
 エルフは無限の寿命を持っていて死なないという説と、二百五十年程度であるという説がある。
 寿命が尽きる前であっても、怪我や病気で死ぬことはあるようだ。

○エルフ長老会
 エルフにとって、長老会の命令は絶対である。
 一つの森には一つのエルフ長老会がある。
 別の森には、また別の長老会があって、その森のエルフを支配している。
 それぞれの森の長老会は独立した存在だが、ゆるい連合体の一部でもある。

○魔力
 念じただけで様々な物理法則を超越できる不思議な力のことである。
 魔力を使って自分自身の肉体や周囲の物質などに作用を与える事を「魔法」という。
 魔法には無数の種類がある。
 代表的なところでは、浮遊魔法=空を飛んだり物体を空中に浮かせて動かす。擬態魔法=他人になりすます。斬撃魔法=三日月形の光を飛ばして、相手を切りつける。などがある。
 すべてのエルフが生まれつき魔力を持っている。
 しかし、その量や質には個体差がある。つまり個々のエルフ間で優劣がある。浮遊魔法が得意な者、擬態魔法が得意な者、斬撃魔法が得意な者、などである。
 それぞれの魔法の強弱は、生まれつきの才能と訓練で決まる。

○治癒魔法
 止血、毒消し、痛み止めなどの治癒系の魔法は、自分自身に作用させることは出来ない。他人にしか効果が無い。

○魔法使い
 ごく少数だが人間の中にもエルフのように生まれつき魔力を有する者がいる。
 なぜ人間の中に魔力を持つ者がいるのか、いろいろな説があるが、確かな事は分かっていない。
 実は全ての人間がエルフと同じように魔力を持っているが、それが顕在化するには何らかの偶発的なショックが必要であるという説を唱える者もいる。ほとんどの人間が自分の内なる力に気づかずに一生を終えるという説である。
 しかし、本当の所は分からない。
 また、多くの(人間の)魔法使いは、エルフより能力が劣る。
 エルフ並みの、あるいはエルフを凌駕りょうがする魔力を持つ者も居るという噂もあるが、あくまで噂である。

○残留魔力
 エルフ、あるいは魔力を持つ一部の人間が死んだとき、その体内にある魔力は一気に体外に放出され、拡散し、消滅してしまう。
 しかし、ごくまれに、体外に放出された魔力が凝固し、疑似的な「人格」を持つことがある。
 魔力の凝固体にそなわった「疑似人格」は、多くの場合、もとの魔力の持ち主すなわち死んだエルフ、あるいは魔法使いの「人格」を模倣もほうする。

○機械馬車
 人間社会では主な交通機関として、馬車が使われている。
 エルフ社会では、馬車はほとんど使われていない。これは多くのエルフが浮遊魔法で空を飛べる事、またエルフの住居は馬車の通れない森の奥にある事などが理由である。
 人間の使う馬車は、名前こそ「馬車」だが本物(動物)の馬に引かせている訳ではない。
 魔力を動力源とした「機械馬」に引かせている。
 遥か昔には動物の馬に引かせていたようだが、現在はほとんど機械馬である。
 人間社会において「馬」と言ったら、多くの場合「機械馬」をす。
 機械馬の他にも、機械ロバなど、動物に似せて作られた魔法動力機械は何種類か存在する。
 また、上下水道など都市の公共システムにも一部魔法が使われているらしい。
 そういう意味でも、人間にとっても魔力は重要な動力源であり、自ら生み出すことが出来ない以上、エルフから魔力を「買う」しかない。

○ばね式投げナイフ
 人間が護身用の武器として好んで使う。大した訓練も必要なく誰でも使える。
 円筒形のつかの中にコイルが圧縮した状態で仕込まれていて、は、つかとは別部品の刃の基部に接触している。
 つば付近に設けられた金属部品によって刃と圧縮したは固定され、その突起部を押すことによって刃とが解放され、が一気に伸び、その力で刃が勢いよく飛んでいく仕組みである。
 当然のことながら一度撃てば刃は飛んで行ってしまうので、再び撃つためにはを圧縮し、飛んで行った刃を回収して柄に装着しなければいけない。
 事実上、一回こっきりの、単発の武器である。
 刃を発射しない限りは通常のナイフとして使える。

○上下水道
 人間の都市では、上下水道は非常に発達している。
 蛇口をひねれば清潔な水が出て、水洗トイレに水を流せば、汚水は地下の下水道へと流れていく。
 上下水道システムの一部には魔法が使われているらしいが、詳しい事は公表されていない。
 都市周辺の郊外住宅地においては、上水は「井戸水」、下水は「下水道」という場合が多い。
 下水道の先は近くの川に直結していて、浄化されないまま、いわゆる「たれ流し」になっている。
 農村部の場合も、飲み水は井戸から取る。
 下水に関しては、二方式ある。
 第一は郊外住宅地と同じように下水道から近くの川へ流す方式。
 第二は庭に穴を掘ってその上に小屋を建て、穴の上に板を渡して便器を置く「便所小屋」方式である。
 小屋は床も無く、単に穴のまわりを囲って屋根をせ、風で飛ばされないようくいで地面に固定しただけの単純な作りである。
 汚物で穴がいっぱいになったら、敷地の別の場所に新たな穴を掘って、くいを外して自由に移動できるようにした小屋を家族みんなで運んで、そこを新たな「便所小屋」にする。
 汚物でいっぱいになった古い穴は、土をかぶせて埋めてしまう。
 これを定期的に繰り返す。敷地に新たな穴を掘る余地が無くなった頃には、一番最初の穴の中身が「土にかえっている」ので、再びそこに穴を掘って便所小屋を移動・設置するという寸法である。
 エルフの住居も基本的にはこの第二の方式である。
 また、エルフは広大な森にわずかな数しか住んでいないので、森の中で他のエルフと偶然出会う可能性が低い。
 そういう場合には「より野生動物に近い排泄方法」を森の下草の中で取る事も多い。